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2007年09月11日

今の国民に期待できないことは、刑事弁護への意義を理解すること

山陰中央新報 - 刑事弁護の役割とは/公平な司法判断はぐくむ
 は刑事弁護の意義を明快に解いてはいる。

 しかし、今の国民は上記の論説をことごとく無視してしまうだろう。



 近時、刑事弁護に対する理解は明白に低下している。

 多少の想像力があれば、容易に理解できることであろう。

 ところが、懲戒制度を巡る最近のこの騒動のように、

 刑事弁護への意義を理解する国民は皆無である

 わずかばかりの想像力さえない国民は刑事弁護への意義を理解しないまま、刑事司法制度の被害者となるだろう。


 ある者は「任意取調べ」によって自殺に追い込まれ


 またある者は何人の助けを得られぬまま、社会から疎外され


 さらにある者は冤罪の烙印を押さえた末、絞首刑にされるだろう。


 刑事司法制度の被害はいつ、だれに降りかかるのか、全く予測できない。

 しかも、刑事司法制度の被害が生じたかどうかは、後にならなければ分からないことである。犯人とされた人物が逮捕・起訴された時点で、刑事司法制度の被害が生じたかどうかは全く分からないのである。

 にもかかわらず、わずかばかりの想像力さえない国民は、刑事司法制度が与える被害の重大さ・予測不可能さを看過して、刑事弁護にケチをつける。

 そしていつの日か、刑事司法制度の被害が自分の身に降りかかったとき、すなわち、刑事弁護を真に必要とするとき、

わずかばかりの想像力さえない国民は、刑事司法制度の被害に打ちのめされ、無理解な社会や自分の人生にさえ絶望してしまうだろう。

 刑事弁護の意義を理解しなかったがために。

 まさに、自業自得である。
posted by ニュース解説者 at 18:08| Comment(16) | TrackBack(2) | ニュース解説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月10日

公判前整理手続きは弁護士にとって非常に大変な負担です。 秋田県藤里町で起きた連続児童殺害事件について

弁護側、公判前整理に反対=連日開廷の負担懸念、地裁が説得−秋田
 秋田県藤里町の連続児童殺害事件で、畠山鈴香被告(34)の弁護人が当初、公判の連日開廷による負担増を懸念し、公判前整理手続きの適用に反対していたことが8日、分かった。」

鈴香被告、12回の公判前整理手続き終了
鈴香被告、12回の公判前整理手続き終了

■7カ月「手探り」神経戦

 秋田県藤里町で起きた連続児童殺害事件は29日、7カ月という長期にわたった「公判前整理手続き」がようやく終わり、9月12日に初公判を迎えることになった。裁判所、検察、弁護人。それぞれが悪戦苦闘した公判前手続きは、まさに「手探り」の連続だったようだ。」

公判前整理手続きとは、(公判期日の連日的開廷を要する)裁判員制度導入に備えて、証拠関係を整理して、公判期日で審理すべき争点を絞り込む法廷外で行われる非公開の手続きです。公判期日の審理をスムーズに行うための刑事訴訟法上の制度で、2005年11月から運用されています。

公判前整理手続きが実施された著名な事件には、堀江貴文氏の証券取引法違反事件があります。

さて、この公判前整理手続きは弁護士にとって


とても負担のかかる手続きです


例えば、普通の殺人事件が公判前整理手続きに移行するとします。

すると、担当弁護士は公判前整理手続きに移行した事件への対応に忙殺されます。夜中までこの事件のためだけに費やされます。例えば、公判前整理手続きに提出される証拠類(普通の殺人事件(被害者一人だけ)では大きなダンボール箱数箱程度)を精査して、問題点を逐一洗い出したりしなければなりません。

一人ではとても事件を扱いきれないため、他の弁護士の手伝ってもらうことも珍しくはありません。

夜中までこの事件のためだけに費やさなければならないため、他の事件はその期間中ほとんどできません。

特に、ほぼボランティアに等しい現在の国選弁護では、担当弁護士とって収入の減少をもたらします(この点で私選で数名の有能な弁護士を付けることができた富豪・堀江氏のケースは稀有であることが理解できるでしょう)。

 このように労力・金銭の両面で公判前整理手続きは

弁護士にとって


とても負担のかかる手続きです



他方、検察は公判前整理手続きのための


専門チーム


が数人がかりで取り組んでいます(もっとも上記の秋田では、飽きた地方検察庁の人員が少ないため専門チームの編成はままならなかったのかもしれませんが)。


一人の弁護士

 対

数人の検察官で組織された専門チーム


公判前整理手続きがどちらに有利な制度かは明白でしょう。

今はこのような公判前整理手続きが新たな冤罪の温床にならないことを祈るばかりです。

posted by ニュース解説者 at 13:52| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース解説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月09日

生存権は具体的権利ではない 生活保護に関する誤解について

生活保護申請は無駄 家賃が高いことを理由に担当者 [ 09月07日 21時24分 ] 共同通信
「住んでいるマンションの家賃が高いことを理由に、生活保護の申請に訪れた男性に大阪市の担当職員が、「(申請は)無駄」と申請用紙の交付を渋り断念するよう働き掛けたとして、弁護士などでつくる生活保護問題対策全国会議は7日、大阪市に公開質問状を提出した。同市の上野厚雄生活保護担当課長は「家賃を理由に申請を受け付けないのは不適切。今後、そうした対応をしないよう担当者に周知した」としている。」

生活保護100万世帯に、勤労世代も増加 : ニュース : ジョブサーチ : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

より
「生活保護100万世帯に、勤労世代も増加
 2005年度に全国で生活保護を受けている世帯数が、月平均で初めて100万世帯の大台に乗る見通しであることが26日、明らかになった。厚生労働省は「高齢化が進み、無年金や年金が少ない高齢者世帯が増えてきたことが主な増加要因」と分析している。一方、働くことができる世代がいる世帯の増加率も高くなってきており、「格差社会」の広がりを指摘する声もある。」

生活保護は憲法25条の生存権に基づく

ところが、この生存権は少々厄介な性質を備えています。

そもそも憲法に「権利」と書かれているものには実は、

3種類あります。

具体的権利 憲法の条文の文言自体が充分に具体的であり、他の立法を要しないもの

抽象的権利 憲法上は抽象的な権利に止まるが、具体化する立法(法律や政令、省令など)によって具体的な権利が発生するもの

プログラム規定 国の政策目標ないし政治道徳的義務を定めたものであつて、個々の国民に具体的な請求連を保障したものではないもの

普通の人たちが生存権と聞いて連想するものは、法律学における

具体的権利 憲法の条文の文言自体が充分に具体的であり、他の立法を要しないもの

です。

ところが、最高裁大法廷判決昭和23年9月29日・刑集2巻10号1235頁は「(憲法25条1項)により直接に個々の国民は、国家に対して、具体的、現実的にかかる権利を有するものではない」として、


生存権は具体的権利ではない


と言明しています。

つまり、生存権は

抽象的権利 憲法上は抽象的な権利に止まるが、具体化する立法(法律や政令、省令など)によって具体的な権利が発生するもの

プログラム規定 国の政策目標ないし政治道徳的義務を定めたものであつて、個々の国民に具体的な請求連を保障したものではないもの

のどちらかでしかないのです。

また、生存権に関する訴訟で最も著名な朝日訴訟(最高裁大法廷判決昭和42年5月24日・民集21巻5号1043頁)では、「健康で文化的な最低限度の生活なるものは、抽象的な相対的概念であり、その具体的内容は、文化の発達、国民経済の進展に伴って向上するのはもとより、多数の不確定要素を綜合考慮してはじめて決定できるものである。したがって、……(この点の)認定判断は、いちおう、厚生大臣の合目的的な裁量に委されて」いる、として

 生存権の具体的内容は、政府がその広い裁量権の下、任意に決めることができる

と言明しています。

つまり生存権の具体的内容は

 政府のご機嫌次第でどのようにも変わりうる

もろい、ものなのです。

さらに、堀木訴訟(最高裁大法廷判決昭和57年7月7日・民集36巻7号1235頁)では、

憲法25条の書かれている「健康で文化的な最低限度の生活」の意義について

「憲法二十五条の規定の趣旨にこたえて具体的にどのような立法措置を講ずるかの選択決定は、立法府の広い裁量にゆだねられており、それが著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱・濫用と見ざるをえないような場合を除き、裁判所が審査判断するのに適しない」として、

 つまり、具体的にどのような立法措置を講ずるかの選択決定の一つにすぎない


老齢加算や母子加算


を法律改正で廃止したことが裁判所で審査判断されることはありません。

 したがって、いま裁判所で争われている老齢加算廃止をめぐる判決はまちがいなく


敗訴


です。

これは間違いない!


生活保護に関する誤解が一日も早く解消されることを願います。



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1項目=..


posted by ニュース解説者 at 18:21| Comment(0) | TrackBack(4) | ニュース解説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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