http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070905-00000088-jij-soci
「 山口県光市母子殺害事件の差し戻し控訴審の被告(26)弁護団への懲戒請求をテレビ番組で扇動したとして、弁護士4人から提訴された橋下徹弁護士(大阪弁護士会所属)が5日、東京都内で記者会見し、「法律家として責任を持って発言した。違法性はないと確信している」として、全面的に争う考えを示した。
橋下弁護士は「世間は弁護人が誘導して被告の主張を変えさせたと思っている。刑事弁護人はここまでやっていいのかと、弁護士の信用を害した」と述べ、改めて弁護団を批判した。 」
「弁護士および弁護士法人(以下「弁護士等」といいます。)は、弁護士法や所属弁護士会・日弁連の会則に違反したり、所属弁護士会の秩序・信用を害したり、その他職務の内外を問わず「品位を失うべき非行」があったときに、懲戒を受けます(弁護士法56条)。」(日弁連サイトより)
懲戒請求の定番は
カネとサボリ
です。
他方、光市母子殺害事件のヤマである
死刑
は、世界的には控える傾向にあります。
「近年、死刑適用を回避する世界的な潮流が顕著になってきた。異なる地域の合計125 カ国が法律上または事実上死刑を廃止した。欧州では実際に死刑を執行しているウズベキスタンとベラルーシを除きほとんど死刑がなくなった。米大陸では、米国が定期的に執行しているのみである。アフリカは大陸から執行がなくなるような大きな一歩を踏み出している。セネガルとリベリアが最近死刑を廃止し、2005 年には53 カ国
中3 カ国のみが死刑を執行した。」
「死刑適用を回避する世界的潮流は国連人権委員会で採択される決議によりさらに強まっている。死刑廃止を支持する1997 年以来毎年採択されている。」
アムネスティ国際事務局「日本の死刑」報告書 より
死刑制度の問題点は(死刑による犯罪抑止効果に対する反証も含めて)上記の報告書に詳しく書かれていますが、報告書に書かれていることを知った上で死刑を叫んでいる人は(被害者の遺族を含めて)いないでしょう。
被告人弁護団は上記報告書に書かれている現状(ひいては現在の刑事司法制度のひどい実態)を知っているから、(大衆に非難されるような)いかなる手を尽くしてでも、死刑を回避しようと必死になっているのでしょう。
被告人弁護団は決して、懲戒請求の定番である
カネ
や
サボリ
の問題を起こしてはいません。
被告人弁護団のなりふり構わない姿が大衆の不快感を喚起しているだけにすぎないのです。
不快感を喚起したから懲戒請求
では、弁護士制度はまちがいなく弱体化してしまうでしょう。
刑事司法制度は被告人・弁護人に不利な運用がされている上、(刑事弁護のほとんどを占める)国選弁護だけではとうてい生活できないのに、刑事弁護で積極姿勢を示したら署名運動のように懲戒請求されるようでは、
刑事弁護を引き受ける弁護士がいなくなってしまでしょう
それはまるで、医療過誤訴訟を恐れて産婦人科医の担い手がいなくなるように
それで、困るのは弁護士ではありません。
被告人になったときに(しかも、その瞬間はいつ訪れるのか誰にも分からない)
無実なのに死刑にされるかもしれない
あなた
です。
それはまるで、病院が見つからないまま救急車の中で命を落とす妊婦のように
さらに、安易な懲戒請求は請求者に損倍賠償責任を生じさせる
キケンな行為です。
(最高裁判所第三小法廷 平成19年04月24日判決を参照)
懲戒請求の主な対象はあくまでも
カネ・サボリ
です(ちなみに、弁護士会の会費不払いで懲戒された方は過去にいたそうです)
懲戒制度は、弁護士自治制度を守る(ひいては個人の権利・自由を守る)ための要です。
伝家の宝刀です。
伝家の宝刀をむやみに振り回してはいけません。
くれぐれも、懲戒請求は控えめに


