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2007年09月09日

生存権は具体的権利ではない 生活保護に関する誤解について

生活保護申請は無駄 家賃が高いことを理由に担当者 [ 09月07日 21時24分 ] 共同通信
「住んでいるマンションの家賃が高いことを理由に、生活保護の申請に訪れた男性に大阪市の担当職員が、「(申請は)無駄」と申請用紙の交付を渋り断念するよう働き掛けたとして、弁護士などでつくる生活保護問題対策全国会議は7日、大阪市に公開質問状を提出した。同市の上野厚雄生活保護担当課長は「家賃を理由に申請を受け付けないのは不適切。今後、そうした対応をしないよう担当者に周知した」としている。」

生活保護100万世帯に、勤労世代も増加 : ニュース : ジョブサーチ : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

より
「生活保護100万世帯に、勤労世代も増加
 2005年度に全国で生活保護を受けている世帯数が、月平均で初めて100万世帯の大台に乗る見通しであることが26日、明らかになった。厚生労働省は「高齢化が進み、無年金や年金が少ない高齢者世帯が増えてきたことが主な増加要因」と分析している。一方、働くことができる世代がいる世帯の増加率も高くなってきており、「格差社会」の広がりを指摘する声もある。」

生活保護は憲法25条の生存権に基づく

ところが、この生存権は少々厄介な性質を備えています。

そもそも憲法に「権利」と書かれているものには実は、

3種類あります。

具体的権利 憲法の条文の文言自体が充分に具体的であり、他の立法を要しないもの

抽象的権利 憲法上は抽象的な権利に止まるが、具体化する立法(法律や政令、省令など)によって具体的な権利が発生するもの

プログラム規定 国の政策目標ないし政治道徳的義務を定めたものであつて、個々の国民に具体的な請求連を保障したものではないもの

普通の人たちが生存権と聞いて連想するものは、法律学における

具体的権利 憲法の条文の文言自体が充分に具体的であり、他の立法を要しないもの

です。

ところが、最高裁大法廷判決昭和23年9月29日・刑集2巻10号1235頁は「(憲法25条1項)により直接に個々の国民は、国家に対して、具体的、現実的にかかる権利を有するものではない」として、


生存権は具体的権利ではない


と言明しています。

つまり、生存権は

抽象的権利 憲法上は抽象的な権利に止まるが、具体化する立法(法律や政令、省令など)によって具体的な権利が発生するもの

プログラム規定 国の政策目標ないし政治道徳的義務を定めたものであつて、個々の国民に具体的な請求連を保障したものではないもの

のどちらかでしかないのです。

また、生存権に関する訴訟で最も著名な朝日訴訟(最高裁大法廷判決昭和42年5月24日・民集21巻5号1043頁)では、「健康で文化的な最低限度の生活なるものは、抽象的な相対的概念であり、その具体的内容は、文化の発達、国民経済の進展に伴って向上するのはもとより、多数の不確定要素を綜合考慮してはじめて決定できるものである。したがって、……(この点の)認定判断は、いちおう、厚生大臣の合目的的な裁量に委されて」いる、として

 生存権の具体的内容は、政府がその広い裁量権の下、任意に決めることができる

と言明しています。

つまり生存権の具体的内容は

 政府のご機嫌次第でどのようにも変わりうる

もろい、ものなのです。

さらに、堀木訴訟(最高裁大法廷判決昭和57年7月7日・民集36巻7号1235頁)では、

憲法25条の書かれている「健康で文化的な最低限度の生活」の意義について

「憲法二十五条の規定の趣旨にこたえて具体的にどのような立法措置を講ずるかの選択決定は、立法府の広い裁量にゆだねられており、それが著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱・濫用と見ざるをえないような場合を除き、裁判所が審査判断するのに適しない」として、

 つまり、具体的にどのような立法措置を講ずるかの選択決定の一つにすぎない


老齢加算や母子加算


を法律改正で廃止したことが裁判所で審査判断されることはありません。

 したがって、いま裁判所で争われている老齢加算廃止をめぐる判決はまちがいなく


敗訴


です。

これは間違いない!


生活保護に関する誤解が一日も早く解消されることを願います。



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1項目=..


posted by ニュース解説者 at 18:21| Comment(0) | TrackBack(4) | ニュース解説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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